2007.7.29

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グレートバリアーリーフの玄関・ケアンズ
 最近は、少し歳をとってきたのかなっと思うようになってきた。
基本的クルーズに出ると日の昇る前に起きたしまうのだから・・・まあ嘆いても仕方ないので、日の出の写真をパチパチとやる。
旅行するごとにずいぶんと朝日の写真が多くなっちゃったな-。
そんなことを考えながら、リーフエンデバー号の最先端のデッキでコーヒーなどを飲んでいると、遥か前方に入江のようなものが見えてきた。
きっとクックタウンの入口に違いないぞ。 船は朝の光の中をゆっくりと入江の方向へ航行していく。
 何回かオーストラリアへ来てみて気がついたのだけれども、大部分のオーストラリアの都市は河口から発達しているようだ。
ここクックタウンもやはり同じような形状をしており、エンデバー川の河口に町が広がっているのが分かる。
 よく見ると、河口付近には喫水の深い船も通行できるように、いくらかシュンセツしてあり、航路には浮標がきちんと整備されているのでこれに沿っていけばクックタウンの桟橋まで向かうことが出来る。
 ただ、クルーズ船リーフエンデバー号は船体も大きなために、横付けは不可能のようだ。 かなり沖合いでアンカーを下ろして停泊することになった。
 桟橋へは、船に搭載されているグラスボートが我々を運んでくれる。
町の名は、キャプテン・クックが1770年にエンデヴァー号の修理のため滞在したということから名づけられたというが、以前に若干の金が採れたくらいで他に何の産業も無いわけであるから、町の様子もなんとなく想像できる。
 位置的にはグレートバリアーリーフの玄関ケアンズから約300Kmほど北(日本方面)なのだけれど、道路も途中までしか舗装していないし、おまけに橋の架かっていない川を渡し舟に乗っていく状況となれば、たぶん相当な物好き人間しか行かないであろう場所なのである。
 案の定、町の中心部であるメインストリートもあれれっと200メートルほどで終了し、しかもホテル、キャプテンクック博物館、食堂、お土産やと必要最小限のお店があるだけで、あとはなーんにも無い。 なーんにも無いし意味も無く広い芝生の歩道も誰も歩かないらしく、あちらこちらに突発的に散らばった犬糞が地雷原の様相を呈していた。
 桟橋から海岸通を20分ほど歩き、町の中心街を抜けるとさらに30分ほど歩いて植物園に到着した。 案の定何も無い。公園の入口にはただただ広い(野球場が4つくらい入るような)芝生があるのみ、事務所まで行けば何かしら面白いこともあるかも知れないのだが、なんかただただ広く、遥か彼方からやってくる風に揺れるユウカリの木の葉がサラサラいう音だけで、その音はもうこれ以上進んでも何ーもありませんよのお告げのようであった。仕方がないので、これ以上体力と水を消耗しないようにしながら、今度はクックタウンの一番高い丘を目指すことにした。 
 人気の無い町を通り抜けて1時間ほど上り坂をがんばって登っていく。少しすると突然視界がひらけてきた。 ここ途中の展望台からはエンデバー川と町のほとんどが見渡せて、遥か遠くには熱帯雨林と山が連なっているのが良く分かった。 そこからがんばってさらに上ると灯台があった。 グラッシーヒルの頂上である。 頂上には車が何台か駐車していて、観光客や地元の人たちが雄大な景色を堪能していた。
 クック船長は、当時何度もこの丘に登ったとい言われ、そこからグレートバリアーリーフの珊瑚礁の状況や潮の流れなどを観測したりして、自分たちの船(エンデバー号)を安全に外洋に出すための航路を発見したといわれている。  この日本がすっぱりと入ってしまうような巨大な珊瑚礁群はダイビングやシュノーケルには最高の場所であるが、当時の船乗りには座礁の危機がいつも付きまとう非常に厄介な海域だったに違いない。
 壮大なロマンを考えながら、遠く水平線まで続く珊瑚礁の海と丘の反対側には遥か地平線まで続く熱帯雨林をまぶたに焼き付けると、小走りで丘をくだった。 
 *グラッシーヒルの情報はこちらから・・・・・・ http://www.cook.qld.gov.au/visitors/GrassyHillMonuments.shtml
 AM11:00桟橋に迎えのテンダーボートがやって来た。
 クックタウンの町を後にして河口付近から外海へ出ると、かなりの風が吹いていた。 テンダーボートを操船する若いクルーは、ボートにが横から波を受けないように慎重に操船して、かなりのしぶきを受けながら我々を安全にリーフエンデバー号まで運んでくれた。 そして、近くまで行くと風と波の方向をうまく読み、ボートをリーフエンデバー号の船尾に平行に着艇させるのである。 上手いねお兄ちゃんなどと感心してると、リーフエンデバー号の最後尾に装備されている、強大なフォークリフト状の装置がウィーンと事もなげにテンダーボートを乗客もろとも海から引き上げてしまうのである。 
 我々を収容したリーフエンデバー号は、アンカーを引き上げ午後の目的地であるツーアイルスを目指す。
ランチまで少し時間があったので、後部甲板のデッキチアーでくつろいでみたけれど、これがまたサイコーに気持ちが良かった。
 なにしろ小さい船だから、人が前を横切ることも滅多にないし、子供も2、3人しか乗船していなかったからギャーギャー走り回る状況といったものも無い、また、飲物はいかがかーっとしつこく注文を取りに来るウェイターもいない。 あるのはキラキラ光る太陽とグレートバリアーリーフの青い海、そして海を渡ってくる風の音だけである。
 こんな贅沢な状況は、世界中のたぶんどんな客船に乗っても味わうことは出来ないであろう----。 生ビールを片手にゆったりとした時間を過ごしていると前方のサロンで海洋生物学者の海の講演が始まったようで、デッキには本格的に誰もいなくなってしまった。 広いデッキを貸切状態--たぶんこんな贅沢はアラブの富豪にでもならない限りもう経験することはないだろうなっ、とつかの間の王様気分を存分に味わった。
 本日のランチはシーフードバイキングである。 ここのクルーズのパンフレットにも紹介されていたけれど、これがまた凄かった。 量もさることながら、何でもビックサイズなのである。 カニ、海老、カキはもとより、シーフードカレーも体が解けちゃうくらい絶品であった。 たぶんこれって東京のレストランでたべたら1万円は下らないんじゃないかな的な品揃えである。 そして、オーストラリア人は食べるは食べる。見ていても気持ちいいくらいバクパクバク料理を摂取していくのである。 食卓は円テーブルで、毎日大体同じようなメンバーで食事をするのだけれど、この時ばかりは全員が北海道かに食べ放題!スタートッ!っといた状況で黙々と摂取に励んでいるので、こちらとしては会話をしなくて済んだので少しだけホッとした。
 ホッとした原因を解説すると、実はオージーイングリッシュ。
いろいろな船でクルーズしていると、諸外国の方々と幾度と無く同じテーブルを囲んで食事を楽しむのであるのだけれど、今回だけはかなり本格的にマイッテしまったのだヒヤリングに。
 オーストラリア人は基本的にイギリス英語なのだけれど、なんだか口を開けないで発音するものだから、モゴモゴ言っていて歯切れがよろしくないのである。 若い人はそんなに気にならないのだが、歳をとった方々やローカルな所に住んでられる方にこの傾向はかなり強い。
イギリス英語の方言なのである。そして決定的に分からないのは、アルファベットの「A」を「エー」と発音しないで「アイ」と発音することだ。
 有名どころでは定番の「グッダイ・マイト」? 正解は 「Good Day Mate」 ご挨拶ですね。
 「OK」 これって 「オーケー」ですね。 ただしオーストラリアではどういうわけか「オーカイ」
 超ローカルな話題で中国製品の悪口で会話が盛り上がっていると、「マイドイン・ジャパン」
 「まいど!イン ジャパン☆?」・・・・あっはぃはぃ「メイドイン・ジャパン」ね。
 どの位オーストラリアにいるのでは、「スタイ」=STAYだし、今日はテンダーボートに乗っていたら風が強くて「スプライ」?=SUPPLAY浴びちゃって、日差しが強くって焼けちゃって「パイン」?=PAIN?とくる。
 楽しい会話の後のお支払いは「パイ」=PAYで、「また後でね」=See you!はなぜか 「シーヤー!」っときてしまう。
 オージーイングリッシュ→イギリスイングリッシュ→アメリカンイングリッシュ→日本語と頭の中で3回変換しなければならないので頭がこんがらがってしまいかなりぐったり状態なのだ。
 これは飲まなきゃやってられねーなー的な環境の中で、オーバーヒート寸前の脳みそに冷たく冷えた白ワインは最高であったが。
 さらに、今オーストラリアで受けている連続のテレビドラマの今後の展開や、近所での海釣りやワニがいるようなところでの川釣りの太公望のお話にはまったくついていけないし、あんなにバクバク食べているのに、食べすぎはダメよーーっとダイエットとサプリメントの話。いやはやローカルすぎて完全にお手上げグリコ状態の食事風景になってしまうのである。 したがって、結論から言うと無言のシーフードバイキングは、我々日本人観光客にとって有意義な時間だったのである。
 
 PM2:30船はツーアイルスに到着した。
ここはすべて珊瑚礁で出来ている無人島で、少しばかりの木は生えているが、標高が1メートルも無いような場所であるから、地球温暖化が進むと海の中に沈んでしまうかも的な島であった。
 テンダーボートは、珊瑚礁をうまくかわし上陸用舟艇のごとくビーチに着艇した。
 早速、船のクルーがビーチを走り回りフラグを立てる。 ここから先では泳がないでのマークで、フラグのとフラグの間でシュノーリングなどをやっていればいつでも船のクルーが監視していてくれるのである。 乗客を安全に遊ばせるのに惜しみない努力をしているクルーは大したものだなっと感じた。
 しかし実際にはシーフード料理を食べ過ぎて、ふぐのような体型でシュノーケルをしたりして水を飲み込んでしまったり、防水カメラのくせにペンタックスのデジカメも一緒になって水を飲んでくれたりして、けっこう過酷な海水浴になってしまった。(2号カメラはこの時点でご臨終になりました。)
 約2時間ほどして、島を引き上げると船は夕日の中をゆっくりとリザード島に進路をとり始めた。
 夕食前にサロンでピアノの生演奏を聞きながらカクテルをやって、今夜もオージーのローカル話の渦に巻き込まれることになりそうだ。
 極度に薄っぺらい歌本しかなかったけれど、一応食後のカラオケ大会の準備も整った様子である。
 では、レストランへ。