2007.7.29

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グレートバリアーリーフの玄関・ケアンズ
 明け方、リーフエンデバー号は今回のクルーズの最後の目的地であるリボンリーフNO.5に近づいていた。
 このリボンリーフNO.5という珊瑚礁は、アウターリーフと呼ばれ、グレートバリアーリーフの一番外側に位置している珊瑚礁群である。 ここのリーフ付近には陸地というものは無く、満潮時で水深は30センチメートル程度ある。
 ブリッジでは船長の指揮のもと、干潮と満潮の水深を考慮しながら慎重にアンカーを打つ場所を決めていた。 最後尾のデッキからは、海洋学者とクルーの二人の若い女性が男勝りの手際よさでゴムボートを下ろすと、調査のために少し荒れ始めた海を珊瑚礁へ向かって走り始めた。
 乗客の方は、レストランで朝食を摂りながらクルーズディレクターであるブルース氏の話に耳を傾けている。 彼の話によれば、本日はクルーズの最終日で、しかも船はここの場所に終日停泊しているから、皆さん自由に一日を過ごしてください。 そして、たくさんのアクティビティーを用意していますので、どんどん予約をしてください。っといった内容であった。
 まずは珊瑚礁には定番のグラスボトムボート、そしてシュノーケリング、ブリッヂ見学ツアーも用意されているので、朝食の済んだ人からアクティビティーの時間割を見ながら早速予約を始めていた。
 我々は、朝から海入るのちょっと寒いんじゃないの。っということで朝の早い時間にグラスボトムボートを予約して、10時30からのシュノーケリングツアー、そしてお昼ちょっと過ぎのブリッヂツアーを予約した。
 ここで、少しこの船の船室についてご紹介しよう。
この船は色々なところで斬新なデザインが採用されていて、船室もまた変わったってた。 まず一般の客船との大きな違いは、部屋の入口がデッキ(甲板)から入る構造になっているということだ。 この為、甲板に吹き込んでくる突然のにわか雨などでは、部屋に入るまでの間にビショビショになってしまうということが起きるが、逆にドアーを開けっぱなしにしておくことにより、爽やかな風が室内に入り込み、そして明るい日差しがサンサンと部屋の中を満たすのである。 また緊急時はすぐにデッキへ出られるし、プールやジャグジーから濡れた体で部屋まで帰ってきても、外のデッキを通ってくるわけであるから、まったく問題は無い。 ただし他人も同じように部屋の前を通るわけであるから、着替えなどの場合はカーテンをしっかりと閉めておく必要はある。
 また大きなベッドの下には、巨大なスーツケースが3個くらい入るぐらいの余裕があり、収納もいたるところにあった。
 トイレやシャワーもきちんと配置されていて、バスタブはないけれどロイヤルカリビアンのスイートなどと同レベルは確保されていてとても快適であった。
 AM9:00にグラスボトムボートのツアーは出発した。 目指すは10分ほど沖のグレートバリアーリーフの一番外側にあるリボンリーフNO.5である。
海上は少し荒れ模様で、時おり低い雲が流れてくると雨が降り始めることがあったが、これもスコールのような雨で短時間でおさまると太陽がギラギラ顔を出したりして美しい珊瑚礁に輝きを与えていた。
 さすがにここまで来ると、本当に人間の手も及んでいないといった環境で魚の種類も豊富。巨大に成長しているシャコ貝なども見ることが出来た。
 説明をしてくれた海洋学者のオージーイングリッシュは相変わらず半分くらいしか理解できなかったけれども、30分ほどのツアーを終了すると今度は小さいアルミボートに乗換えて、シュノーケリングポイントへと向かった。
 まだ潮が引き始めたところなので、水深は3メートル以上あったけれどもそれでも太陽の光が結構深いところまで届いていて、竜宮城のような世界が一面に広がっていた。 それこそ鯛やヒラメは踊っていなかったけれども、赤や黄色や青の原色の魚たちが所狭しと泳ぎ回っているのは圧巻である。 
 その後、午後にもう一度シュノーケリングにチャレンジしてみたが、今度は干潮時ということもあって水深は50センチ位になっていて午前中とはまた違った世界を見ることができた。
 写真は船で買い求めたコダックの水中カメラで撮影したものである。 昨年購入したペンタックスの防水カメラはツーアイルスでの浸水事故により完全に再起不能になってしまった。 まあよくよく見てみればパッキンもなんだ頼りないし、マイドインチャイナといった表示もなんだかいまひとつ信頼性にかけているような気がしてならない。 あまりのお粗末な作りにまことにがっかりとしてしまったのだけれども、中国産の有害物質がグレートバリアーリーフに流れ出さなかっただけでも良かったかもなんて思ってしまった。
 ブリッヂツアーには10人ちょっとの人が参加した。 こちらの機材もかなり充実していて、通信機やGPS、コンパスなど航海に欠かすことの出来ない重要な装置はほとんど日本製品であった。 ラット(操舵りん)に思いっきり面舵(おもかじ)、取舵(とりかじ)と大きな日本語で書いてあるのは笑ってしまった。 説明をしてくれた航海士に「これはすべて日本製ではないか。 おまけにJRC(世界的に有名な日本の通信機器メーカー)なんぞはウチの家の近くであるぞ!」などとここではちょっと鼻高々であった。
 午後もひとしきり遊びまくり、夕方にはネクタイにジャケットといった少しだけオシャレモードになった。
本日はクルーズ最終日であるので、キャプテン主催のディナーが開催されるのだ。
ピアニストのケビンの演奏と歌につられて、どこからともなくしっかりとめかしこんだ紳士淑女たちがラウンジに集まってきた。
ラウンジでは、いつものように乗客がカクテル・オブ・ザ・デイを楽しんだり、日焼で赤くなった顔をしたオヤジなんかが今日の珊瑚礁の出来事などを熱く語ったりしている。  ディナーの用意が出来た鐘が響き渡るとレストランの入口付近では、船長以下航海士やクルーズディレクターなどが、乗客の一人ひとりと握手をしたり、一緒に写真を撮ったりしてレストランへとエスコートし始めた。
 ディナーが開始されると、キャプテンからのスパークリングワインが各テーブルに運ばれてきて、クルーズ最後の夕食が和やかなムードでスタートした。
 本日もテーブルの仕切り役はマルコムとクリスティーンで、サンダース親子はなんだか女同士の話があるのだろうかたまに大きく笑ったり、真剣な顔をしたりしている。 いつもだいたい自分たちの左側に座るマーガレット婦人は、旦那さんである一見気難しそうなジムの世話をやきながら、結構パワフルな料理を注文していた。 今日のジムさんは最終日だしな、いっぱい飲んじゃおうかな的なムードで、何気ない顔をしつついつもより速いピッチでアルコールを摂取していた。
 美味しいディナーもほとんど終了しコーヒーや紅茶がサービスされる頃になると、レストランの真ん中のステージでは乗組員の紹介に始まって、アルバイトクルーの若い人達による手作りのショーが始まった。
 ショーといっても有名どころの客船のきらびやかなものとはレベルも内容もまったく違うものだけれど、ぎこちなさの中に一生懸命さがひしひしと伝わってきてこれがなかなか良かった。 部屋のお世話をしてくれた女の子や、いつも食事の世話をやいてくれていた子がステージにでがんばっているのを見ると、うまい下手は無関係で乗客から大きな拍手をもらっていた。このようにクルーと乗客とが一体になれるのは小さい船ならではである。